なぜ東北は鬼門とされたのか―古代中国から平安京へ、文化の伝承とメタモルフォーゼ―

日本初の体系的な鬼門の研究書

京都の街中でよくみられる風景。宅地の東北を少しだけ四角く隅切し、そこを囲い、小石を敷きつめている。これは「鬼門除け」と呼ばれる。日本の各地には鬼門に関する伝承が数多く存在する。なぜ東北方位が鬼門とされたのか?その観念は古代中国、後漢に起源をもつ。

本書は日本初の体系的な鬼門の研究書。中国で誕生し、日本に伝播した鬼門を、伝承と変容=メタモルフォーゼの視点から解明、さらに時間軸と空間軸の両面から考察する。多くの文献資料や豊富な図版でビジュアルに解説。風水や天文・暦法、陰陽道、民俗学に興味がある方、鬼門の謎に触れたい方へ。(2024年度 橋本循記念会出版助成図書)

 書籍概要

  • 著:水野杏紀
  • 定価:本体3,600円+税 ISBN978-4-910993-55-3
  • 体裁:A5判・並製・224頁 <2024年度 橋本循記念会出版助成図書>
  • 2025年6月刊行

 目次

プロローグ  メタモルフォーゼの扉を開く
第1章  殷城(址)にみる東北斜め隅切の謎
第2章  鬼門誕生の謎—丑寅間は時空の境界
第3章  疫鬼と駆逐する呪力
第4章  式盤の宇宙と鬼門
第5章  中国における鬼門の変遷
第6章  平安京と鬼門
第7章  丑寅間の刻が一日の境界だった鎌倉・室町時代
第8章  江戸城の鬼門を鎮護
第9章  江戸時代、庶民に広まった鬼門
エピローグ  失われた土地の記憶を訪ねて

 著者プロフィール

水野杏紀(みずの・あき)

大学卒業後、民間企業にて商品開発・販売戦略のプロジェクトなどに従事。易との出会いを機に大学院に入り、研究活動を開始。大阪府立大学(現・大阪公立大学)大学院人間社会学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。
現在は大学の非常勤講師と執筆活動とともに土を耕す。熊猫(ションマオ)学舎塾主宰。主要研究テーマは術数と本草・養生、東アジアの思想文化。
主な著述は「『作庭記』にみる禁忌・陰陽五行・四神相応」、白幡洋三郎編『『作庭記』と日本の庭園』、思文閣出版、二〇一四年、『易、風水、暦、養生、処世 東アジアの宇宙観』、講談社選書メチエ、二〇一六年、「土御門家私塾「齊政館」における術数書研究と出版」、梅田千尋編『新陰陽道叢書』第三巻、近世、名著出版、二〇二一年、『祇園祭リボーン』第一話~第四話、世界思想社、二〇二三年(ウエブにて限定公開)、「菊慈童(枕慈童)と神仙世界」、公益社団法人京都観世会『京都観世会館 会報誌』通巻七九五号、二〇二四年他。