全五号、完全復刻!
一九四三年、上海文学研究会によって創刊された雑誌『上海文学』。
「文學による報國の眞を身を以て實踐する」ことを掲げた本誌は、
創刊まもなく掲載した作品から芥川賞候補作を二度輩出するなど、
上海にとどまらない反響をうんだ。
「上海文学賞」の創設、展覧会開催、ラジオ放送など、
翼賛一色ではない多様な活動を伴った
戦争末期の「外地」文化の複雑なあり方を伝える幻の雑誌が当時の姿でよみがえる!
書籍概要
『上海文学』1943年4月〜1945年5月
発行所:大陸新報社
- 解題: 木田隆文(奈良大学教授)
趙夢雲(東大阪大学教授) - 定価: 本体32,000円+税 ISBN:978-4-910723-30-3
- 体裁: A5判並製、全5冊+別冊、函入、総約650頁
(別冊にて、解題・総目次・執筆者索引を付す) - 原本: 奈良大学図書館、個人蔵
- 刊行時期: 2022年7月
【訂正とお詫び】
『上海文学』別冊に下記のように誤りがありました。
ご購入いただいた皆様には、大変ご迷惑をおかけいたします。
ここに深くお詫びし、訂正させていただきます。
(誤)⑤72ー75 → (正)⑤71ー73
主要執筆者
会田綱雄/朝島雨之助/池田克己/内山完造/兼松信夫/黒木清次/小泉譲/多田裕計/武田泰淳/陶晶孫/八森虎太郎/広瀬庫太郎
版元から一言
長く幻とされた『上海文学』の復刻に関われたことがまず嬉しい限り!
研究者の方々の地道な長きにわたる努力はいつか実るのですね。
本誌創刊号を読むと、勇ましい翼賛の言葉が目に飛び込んできます。
戦局も厳しくなる中、当時の上海の日本人世界の空気が伝わるかのようです。
しかし先生方の解説のとおり、そうした声高な訴えのあいまに、かすかな違和が。
中国の人たちはもちろんのこと、内山完造、池田克己など、主催者の複雑な心境がはしばしから滲み出ます。
大都市上海を代表した本誌から、複雑な「外地」文化の営みのひとつのあり方を感じて頂ければと思います。
追記
文学の「場」を追い求めた池田の営みを深くたどっていけそうな企画を木田先生と相談中です。乞うご期待を。